午前三時四十分は、韓国でいちばん正直な時間だ。
そう言い切れるのは、テグのコンビニのカウンターの裏で四年と二ヶ月を過ごしてきたからだ。二時から八時までのシフト。その時間には、もう物音という物音は死んでいる。酔っ払いは最初の一本を飲んで寝に帰り、配達員はトラックに荷を積み終え、通りには蛍光灯のうなりと、急がずに通り過ぎるタクシーがたまにあるだけ。三時四十分、店に入ってくる人はもう取り繕わない。必要なものを買う。あるいは、痛いものを。
私もずっと前から取り繕うのをやめた。人の癖を覚えて、ちゃんと嫌えるようにする。小銭を数えてカウンターに置き、私の指に触れまいとする男。アイスの冷蔵庫を開けて二分間じっと中を覗き込み、まるでそこに自分の人生があるかのような女。工場の夜勤の若者で、いつも缶コーヒー二本とビール一本を、念のため、買っていく。人を覚えることは、情を持たないためのいちばん効率的な方法だ。杖の老人が苺ヨーグルトを買うのは、亡くなった妻が食べていたからだと知っていれば、もう何も訊かなくていい。もう、好きにならなくていい。
そして最近の私には、好きになるという問題がある。
私の名はユリ。四百十二歳。九尾の狐だ。とはいえ今どきはあまり分からない。デニムのスカート、グレーのパーカー、黒髪はヘアクリップで留めている。九尾の狐の髪は伸びるのが速すぎて、輝きすぎて、獣のように手懐けなければならないから。本当に愛するたびに、尾を一本失う。そういう仕組みだ。誰かと寝たときじゃない、ときめいたときでもない。本当に愛したとき、取り繕えない本当の愛のときに、尾は枯れ葉のようにひとりでに落ちて、戻らない。九本の尾。九つの愛。そしてそれが尽きたとき、私は人間になる。
人間で、死すべき存在。それが意味するすべてを伴って。皺、風邪、許可もなく止まる心臓。
残りは一本だった。たった一本。最後の一本。三角おにぎりを補充するためにしゃがむと低くゆっくり脈打つ一本。彼が入ってくると勝手に逆立つ一本。
彼はジェミン。三十三歳。法獣医師。死んだ動物を開いて、なぜ死んだのかを調べる。人よりも体をずっとよく分かっていて、それは挨拶の仕方にも表れている。短く正確な会釈で、まるで私が話さずに済むための空間を測っているかのようだ。ツナの三角おにぎりを二つと、水を一本。いつも同じ。いつも三時四十分。三年間ずっとそうしている。
尾:九本のうち一本。
初めて彼を見たとき、思った。こいつは長く続く。なぜそんなことを考えるのか分からない。法医学研究所の白衣を半分開いて、消毒液と清潔な獣の匂いを、ピンのように鼻に突き刺してきた。代金を払い、私を見ずに「ありがとう」と言って去った。そして私はカウンターの裏で冷たい手をしていた。何かが大事になると冷たくなる、九尾の狐の手。そして自分に言った。だめ。この人はだめ。この人は客。客は愛さない、客は分類する。
十一日間、分類することに費やした。
冷たさ
冷たさは、私から最初に逃げていくものだ。九尾の狐は体温の設定がおかしい。穏やかなときは燃えるように熱く、何かが内側を揺さぶると、度が指先や鼻の先へ逃げて、ポケットに突っ込んで待たなければならない。ジェミンが髪を濡らし、手の甲にガーゼを当てて三時四十分に来た夜、体温が一気に抜けて、レジのガラスを曇らせた。
「切ったんですか」と訊いた。
彼はガーゼが最近の発明でもあるかのように手を見た。
「猫です。市の保健所の。噛みはしないけど、下手に鎮静をかけると引っ掻く」
「で、あなたはされるがまま」
「されるがまま」と彼は半分だけ笑って言った。「痛くさせないのが仕事なんで」
その夜、彼が帰ったあと、私はバックルームに入って清涼飲料水の箱の上に座った。バックルームは二メートル掛ける三メートルの箱で、明滅する電球と、段ボールと床用洗剤の匂いがする。そこ、冷凍庫のうなりの中で、引っ張られる感覚を覚えた。
背中の付け根から来る。産毛のあるところから絆創膏を剥がすような、乾いた引き。そして隙間に入る冷たい空気。そして尾、私の最後の尾が、パーカーの下からひとりでに、白くて先が黒く、子どもの腕ほどに太く、場所を求めて出てくる。
「だめ」と自分の尾に言った。「まだ。まだ何もしてない」
尾は床用洗剤のボトルに巻きついて、私の言うことを聞かなかった。
四時十分に、次のシフトのレジ係、ソヨンが入ってきた。髪はまだシャワーで濡れ、コーヒーを手に。二十二歳。放射線技師になるために勉強している。若い犬のようなエネルギーと、誰も訊いていないことを話す驚くべき能力を持っている。
「ユリ、おじさんが黄色い線の上に駐車してて、『おじさん、そこだめです』って言ったら、『分かってる』って。ねえ、ねえ、分かってるならなんでするの?」
「あなたに何もできないと分かってるからよ」
「残酷ねえ」とコーヒーを注ぎ、スツールに座った。「三角おにぎりの人、来た?」
「何のことかしら」
「獣医よ。目の下に隈のあるハンサムな人」とコーヒーを一口含み、カップ越しに私を見た。「あの人来ると変になるじゃない。『話してほしいのに黙っててほしい』って顔になる」
「四百歳の顔になるのよ」
「だから眠そうなのがバレてるのよ、おばあちゃん」
ソヨンは私が年を言うと大げさだと思う。ときどき尾を一本見せて説明を省こうかと思うけど、書類仕事を思うとやめる。
品出しのデホは五時に商品のカートと、高校以来寝ていない顔で来た。デホは二十六歳で、哲学の学位を途中で放り出し、店で起きることすべてに理論を持っている。エナジードリンクを並べながら、脈絡もなく言った。
「恋愛は評判のいい習慣だ」
「おはよう、あなたもね」
「三角おにぎりの人が毎日同じ時間に来て同じものを買うからさ。それは恋じゃない、ユリ。ルートだ。動物も人間もルートを作る」
「朝五時にしては深いわね」
「朝五時は哲学が無料なんだよ」
ソヨンがコーヒーを掲げた。
「デホ、働きなさいよ、ヨーグルト投げるわよ」
そうやって夜は過ぎていった。あの二人の合唱と、体に抱えた、見たくないカウントダウンとともに。
情を持たないようにする(書面で)
リストを作り始めた。納品書の裏に、デホが誰も見ていないと思って噛むボールペンで。「ジェミンが私に向かない理由」と名づけ、真剣に取り組んだ。
- 一:三時四十分に来る、つまり彼の人生はシフトだ。シフトのある人に愛する時間はない、補充するだけだ。
- 二:「ありがとう」を定型文のように言う。いい。定型文は染みつかない。
- 三:ホルマリンと犬の匂いがする。強い匂いは記憶に残る。記憶に残る匂いは罠だ。
- 四:誰にでも親切、だから彼の親切は何の意味もない。
- 五:眉にうまく治っていない傷がある。治りの悪い傷のある法獣医師。それは内側に何かを置き去りにする男だ。
リストは、近くで見れば褒め言葉ばかりで埋まっていった。全部消して、一文だけ書いた。「三秒以上目を見ない」。
一週間は効いた。二週目、三時四十分にジェミンは腫れた目と頬の引っ掻き傷で来た。
「また猫?」
「また猫」と二本の指で頬を触った。「通りのやつだ。殴られて、今は殴る。お互い知り合ってるところ」
「どうやって知り合うの」
「餌をやって、じっとしてる。最初は噛む。そのうちあまり噛まなくなる。ある日、手を乗せさせてくれる」
「デートのマニュアルみたい」
彼は笑った。短く疲れた笑いで、腫れた目を閉じて、私の体温は足首まで抜けた。背中の付け根に引きを感じて思った。だめ、だめ、だめ、まだ、ただの笑い、人は毎日笑う。
尾がパーカーの下から出て、焼き餅を焼く雌猫のように私の脚に巻きついた。急いでカウンターの裏に入り、手でたくし上げて隠した。
「寒いの?」とジェミンが訊いた。
「すごく」
「何か着たほうがいい」
「三時四十分に来るのをやめたらいい」
「どうして?」
「シフトが乱れるから」
彼は水を手に持ったまま、払わずに一瞬止まった。
「時間を変えられる」と言った。「君がよければ」
そこで気づいた。リストは何の役にも立たない。問題は彼の習慣じゃない。私がもう自分の習慣を暗記していて、彼はちょうどそれを壊すと申し出ただけだ。時間を変えると申し出る男は、あなたの時間割を考えた男。あなたの時間割を考えた男は、あなたを考えた男。
「ううん」と言った。「三時四十分でいい。三角おにぎりの時間だから」
「わかった」
払った。出る前にドアで止まった。
「ユリ」と名前で呼んだ。名札に書いてある。「この時間、何か食べる?」
「絶対に」
「だからバレてるんだよ」
そして去った。電子レンジの反射で自分を見た。青白く、隈があり、髪は適当に留めてある。四百十二歳で、三年ぶりに空腹を指摘してくれた男。
尾:九本のうち一本。
でも尾はもう違う重さだった。その夜、バックルームの蛇口に絡まり、先に白い毛が一房残った。まるで準備しているかのように。他のことも感じ始めた。牙は興奮すると尖って、見えないように水を飲まなければならなかった。皮膚は治りすぎた。指の段ボールの切り傷が数分で閉じる。終わりに近づく九尾の狐にとって、それはエンジンを切る前に暖まる車のようなものだ。
ロッカーの中にあったもの
ジェミンは法医学研究所の更衣室にロッカーを持っている。知ったのは、三時五十五分に白衣を着て、ロッカーを顔に貼りつけて店に入ってきたからだ。開けたら何かが中に残っていた。
「どうしたの?」と訊いた。何日か前から勝手にタメ口を使っていた。彼は直さなかった。
「ううん。いや」と後ろ首に手をやった。「くだらないこと。今朝ロッカーを開けたら毛が一房あった。白い。長い。尾みたいな」
私はとても静かにしていた。
「尾?」
「動物の、って意味。動物の毛。でもロッカーの中、白衣のフックに引っかかって。変な匂いがする」と手を見た。「何か分からないものの匂い。俺、一日中匂いを嗅いでるんだ。濡れた犬の匂いも、皮膚炎の猫の匂いも、人の匂いも分かる。これはどれでもない。これは……冬の匂いだ」
私はカウンターにしがみついた。パーカーの下の尾が硬くなっていた。
「その毛、どうしたの?」
「袋に入れた。念のため」と傷のある眉を掻いた。「狂ってるように聞こえるだろ?」
「家に新しい動物がいるように聞こえる」
「家に動物はいない。借りた部屋で、大家は毛を嫌う」
三角おにぎりと水を持っていった。私はバックルームに入り、パーカーを腰までたくし上げた。尾、私の最後の尾は、付け根近くが皮の剥けたようになっていて、誰かがそっと引いて一房持っていったかのようだった。赤く光り、新しい皮膚がもう覗いている。
ジェミンのロッカーに毛が逃げていた。何週間も前から、彼が近くにいると尾はひとりでに出て、角に絡まり、あちこちに入り込んでいた。尾は巣を準備する。尾は持ち主より先に知っている。
「黙って」と怒ってたくし上げた。
四時十分にソヨンがコーヒーと若い犬のエネルギーで来た。
「ユリ、なんで背中に絆創膏貼ってるの?」と勝手に回した。「しかもそこ白い毛がある! メッシュ入れたの? おしゃれ。なんで背中なの?」
「見えないのが好きだから」
「あんたはテグでいちばん変な人よ」
「ありがとう、ソヨン」
パンを並べていたデホが顔も上げずに言った。
「白髪は諦めの色だ。詩人が言った。か、祖母が言った。どっちか」
「デホ、働きなさいよ」
カウントダウン
数は何世紀も頭の中で数えてきて、いつも簡単だった。九、八、七。尾一本につき男一人。最初は、詩を読んでくれて土地持ちの未亡人に私を残した李朝の学者。四本目は、帰らなかった兵士。六本目は、釜山のパン屋で、粉の匂いを今でも覚えているほど愛した。八本の尾。八人の男。八つの物語。
そしてジェミン。
ある日計算したら九になった。九本使い、残り一本、それが彼の尾だ。冷凍庫の曇りに指で書いた。八本の線と、もう一本。顔もうろ覚えの八つの名前と、細部まで覚えている一つの顔。曇りを見つめて思った。ありえない。この人を知って三年、何もしていない。食事もしていない、寝てもいない、猫に言うようなことしか言われていない。どうして愛したと言える?
尾が落ちていたからだ。それが大事だった。尾はデートも告白も分からない。尾は落ちるときに落ちる。
そして数える私には、どんどん少なくなっていった。
雨の夜だった。ジェミンは三時四十分にずぶ濡れで、髪を額に貼りつけて入ってきて、いつものツナ二つではなく鶏の三角おにぎりを一つ持った。
「習慣を変えるの?」
「今日、犬が死んだ」とおにぎりをカウンターに置いた。「二週間一緒にいた。通りの。殴られてたやつ」と濡れた顔に手をやった。「何もできなかった。肝臓がめちゃくちゃだった」
「お悔やみを」
「仕事だから」と、でも顎が震えていた。「手を乗せさせてくれたやつだったんだ」
そして、考えずに、いつもはしないことをした。カウンターの裏を出た。近づいた。濡れた腕に手を置いて、いちばん低い声で言った。
「じゃあ、私に乗せて」
彼は顔を上げた。まつ毛に水がいっぱいだった。噛むか分からない獣を見るように私を見て、それから大きくて雨で冷たい手を、私の手の上に置いた。
背中にドアを開けられたようだった。引きで体が折れた。尾が一気に全部出て、ジェミンの腕に、彼の腕に絡み、彼は目を落として息を止めた。
「ユリ」と言った。「これ、何?」
「雨よ」と言った。「バックルームに行くわ」
バックルーム
バックルームは二メートル掛ける三メートルで、明滅する電球がある。ドアを閉めた。ジェミンは真ん中に立ち、滴りながら、白く先の黒い尾がまだ生きた腕輪のように手首に絡んでいた。
「怖がらないで」と言った。
「怖くない」と本当だった。法獣医師は体に怖がらない、人に怖がる。「俺は……これ、君の?」
「そう」
「ずっとあったの?」
「ずっと。四百年」
「わかった」と唇を舐めた。「わかった」
手首から尾をほどいて落とした。それから近づき、濡れた白衣を肩から脱がせて清涼飲料水の箱の上に投げた。彼はされるがままだった。首が露出し、喉仏が上下していた。濡れたTシャツの上から胸に手を置くと、心臓が全速力だった。三十三歳の心臓、これからの人生すべてを伴った。
「で、今は?」と言った。
「今は、私に手を置いて」
置いた。最初は腰に、慎重に、私が噛む側であるかのように。それからもっと下、尾の付け根まで。触れたとき、鼻から呻きが漏れ、尾が彼の腰に、尻に絡み、私へと引っ張った。
箱にもたれてキスした。彼の口は雨で冷たく、私のはこうなると燃えるように熱く、その対比に彼は低い声を漏らした。牙に気をつけて唇を噛むと、彼は両手で後ろ首を掴み、髪もクリップも全部崩れて黒髪が肩に溢れ、長すぎて、それでも彼は気にせず、指に絡めて一瞬顔を離して私を見た。
「目が」と言った。「目の色が違う」
「知ってる。黙って」
ズボンのファスナーを下ろした。硬く熱く、手で握ると、彼は頭を後ろに反らせて棚に後頭部をぶつけ、気にもしなかった。ゆっくり、握りしめて、額を彼の肩に貼りつけて扱き、彼はパーカーの下から手を入れて下着の上から探った。不器用で正確で、どこが痛むか知っているかのような彼の触り方で。
そうやって立ったまま達した。尾を腰に絡め、電球が明滅し、叫ばないようにTシャツを噛んで。顔を上げると、ジェミンの目は黒く、口は開いていて、水の箱に押しつけ、デニムのスカートを一気に下ろし、片脚を上げさせた。
「できる?」と訊いた。手が震えていた。
「できる」
ゆっくり入ってきた。濡れすぎていて熱い滑りだったのに、それでもいい意味で痛く、内側を開かれるようだった。箱の縁にしがみつき、彼は私の腰を掴んで動き始め、尾が腿に絡み、彼は空いた手で尾を払って掴み、手綱のように握り、私は笑い出して、笑いが呻きに途切れた。
バックルームは音で満ちた。箱が壁にぶつかる音、濡れた服の擦れ、電球。彼の肩を噛み、彼は「もう一回」と言い、また噛み、牙なしで、彼は箱と私の腹の間に手を入れて突きながら触り、私は口を開けて彼のTシャツに押しつけてまた達し、脚が砕けた。
彼は少しして達した。額を私のうなじに、尾を拳に握って。
そうやって息をして、雨の水が服から床に滴った。電球が三度明滅した。
「ユリ」と掠れた声で言った。「これ、俺が思ってるやつ?」
「何を思うかによる」
「君が九尾の狐だと思う」
ゆっくり離れた。スカートを上げた。尾は満足げにひとりで腰に巻きつき、三年ぶりに恥ずかしくなかった。
「それで怖い?」
「君がいなくなるのが怖い」と言った。「他はどうでもいい」
そしてそこ、バックルームで、箱は傾き床は濡れて、二度目の引きを感じた。
尾:九本のうち一本。
でも頭の中のカウンターはもう合わなかった。そこには二つの名前、二本の尾、二人の男。そうじゃない?
彼の部屋
彼の部屋は、吹き抜けに面した窓と、水のボトル二本と空のタッパーが入った小さな冷蔵庫のある借り部屋だった。翌晩、シフトのあと、朝八時十分に行った。髪を留め、心臓を喉に。
椅子の背もたれの白衣と、前腕の新しい包帯で迎えた。
「また猫」と言った。
「また保健所のやつ。もう手を乗せさせてくれるんだ」とドアを閉めた。「オフィシオって名前にした。悪い名前だけど、つけたからもういい」
狭い廊下で見つめ合った。彼は眠そうで、まぶたに出ていて、それでも春が来たかのように私を見ていた。
「寝てもいい」と言った。「君がよければ」
「寝に来たんじゃない」
「わかった」
近づいて胸に手を置いた。速く脈打っていたが、最初ほどではなかった。二度目はもっと遅い。二度目にはもう記憶がある。
首にキスした。石鹸とオフィシオと消毒液の匂い。Tシャツを肩から下ろし、骨の終わるところを噛み、彼は息を吐いて腰を掴み、キスしながらベッドまで運んだ。
ベッドは狭かった。上に倒れ込んで笑い、彼はパーカーを脱がせて、もうひとりでに出てベッドの支柱に絡む尾を見つめた。
「きれいだ」と言った。
「尾よ」
「きれいだ」
背中、付け根に手を置き、親指でゆっくり擦り、腕から力が抜けた。尾は先よりずっと付け根が敏感だ。彼はすぐ分かった。体を開いて肝臓の場所を知る、あの忍耐で擦った。
うつ伏せにした。うなじ、肩甲骨、背骨にキスし、下りた。尾の付け根に来てそっと噛み、私はシーツを掴んだ。
「もう一回」と言った。
また噛んだ。それからひっくり返し、残りを脱がせ、両手で開いた。ゆっくり、平たい舌で、急がず、目を閉じて食べ、私は腿で頭を挟み、体温が完全に抜けた。足が冷え、手が冷え、尾が彼のうなじに絡み、上へ引いた。
額を合わせて入ってきた。ずっと目を見て、それは人が耐えられないことなのに、彼は耐えた。動物のように彼と動き、爪を背中に立てた。四本の筋を刻み、彼は文句も言わなかった。
「ごめん」と言った。
「もっと」
もっと刻んだ。口を開け、みっともない声で達し、彼は顔を私の首に隠して続き、震え、長いこと中に留まった。
あとで、尾は自分に巻きついてシーツの上で静かになり、黒い先を私の腿に乗せた。ジェミンはそれを見て、二本の指で撫でた。
「疲れる?」と訊いた。
「疲れる」と背中を見た。「四本筋がある」
「知ってる」と振り向き、鏡に背中を見せた。「もう二本閉じた。オフィシオと同じ。されるがままなんだ」
笑って、目にばかげたものが溢れ、思った。ありえない。この人が最後だなんてありえない。
尾:九本のうち一本。
でも翌朝、彼の浴室で、ブラシに白い毛が一房ついた。枕にも。尾の付け根は触ると、ぐらつく歯のように痛んだ。
彼女の家
エレベーターのない建物の三階にアパートを持っている。窓はバス停に面し、隣人は七時にシャワーで歌う。十一年住んでいる。誰も上げたことがなかった。
ジェミンは土曜に、買い物袋と「念のため」に買った赤いリボンを持って上がってきた。リボンは尾のためだった。私の家で尾はもう隠れず、自分の場所のように床を歩き、テーブルに上がり、椅子の脚に絡まった。もう恥ずかしくなかった。恥ずかしさは電球とともにバックルームに置いてきた。
床に彼に背を向けて座り、尾を差し出した。
「留めて」と言った。「付け根で。リボンで」
ジェミンは後ろに座った。髪を払い、尾をそっとまとめて、緩く、歪んだ蝶結びで結んだ。終わるとうなじにキスした。
「これで」と言った。「できた」
振り向いてキスした。尾を留め、家の床で脚を開いてキスし、彼はそのまま絨毯の上に倒し、赤いリボンでシーツに押さえつけ、隣人が壁の向こうで歌う中、ゆっくり愛した。
違った。遅く温かく、彼の顔がとても近く、途中で泣いているのに気づき、彼は親指で拭って何も言わなかった。リボンで張った尾で達し、紐を引き、彼は中で達して覆いかぶさり、その体の重さは四百年でいちばん家に近いものだった。
それから台所で、彼が米を炊く間、窓ガラスに自分を映した。
髪が白かった。一房でなく、こめかみから一本の筋。手の甲の皮膚は違って見え、もっと薄く、見たことのない青い血管があった。
「ジェミン」
「ん?」
「尾が何本残ってると思う?」
お玉を持って振り向いた。
「一本って言わなかった?」
「うん」と手を見た。「一本」
「なら一本だ」
そして台所で、米が湯気を立てる中、また数えた。また。何度も間違えた。四百年男を数えてきて、同じものを二度数えたことがなかったから。
八本の尾。八人の男。駒のように頭にあった。李朝の男、兵士、パン屋、六本目の男、七本目の男。そしてジェミン。
でも六本目の男の顔を思い描くと、違う服のジェミンが出た。釜山のパン屋の声を思い出そうとすると、ツナのおにぎりを二つ頼むジェミンの声が出た。帰らなかった兵士を思うと、椅子の背もたれで彼のシフト帰りを待つジェミンの白衣が出た。
八本の尾。そしてどれも、どこかで同じだった。
間違った計算
店で三晩、カウンターの下で指を折って数えた。ソヨンがコーヒーを持ってきて言った。
「変よ。いつもより」
「計算してるの」
「レジの?」
「人生の」
「ドラマチックね」
缶を積んでいたデホが言った。
「人生の計算は合わない。だから人は飲む」
「デホ、あなた飲まないでしょ」
「だからこんなに悲しい」
そして三時四十分にジェミンが入り、初めて鼻先の三年間のことに気づいた。彼がいつも同じ時間に来るのは私がいたからだ。夜を私へのルートにした。おにぎりは口実で水も口実で時間も口実で、男は何かのためでなければ三年も口実を保たない。
計算が全部崩れた。
九本の尾。八つの愛。でも八つじゃなかったら? 一人の男を、繰り返し、気づかずに尾を一本ずつ使い、彼の各段階を新しい男と見ていたら? 疲れて来る人。半分だけ笑う人。猫に引っ掻かれるがままの人。時間を変えると申し出る人。念のため赤いリボンを買う人。
全部同じ。全部ジェミン。そして欲望の種類を数えるうちに、何ヶ月も前に尾は尽きていた。
カウンターにしがみついた。背中が新しい場所、もっと下、骨が痛んだ。トイレに入り、鏡の前でパーカーをたくし上げた。
尾はそこにあった。白く、彼がつけた赤いリボンで結ばれて。でもよく見ると、鏡の中で短く見えた。付け根には以前皮があった場所に、古い断端のような、閉じたばら色の傷跡があった。
触った。ほとんど感じなかった。
「だめ」と鏡に言った。「だめ、だめ、だめ」
でも鏡は聞かなかった。
尾:九本のうち一本。
それから同じ夜、リボンがひとりでに浴室の床に落ちた。尾はほどけ、伸び、ぶら下がって、黒い先がタイルに触れた。落ちる寸前の葉のように。
カウンターに出た。ジェミンは水を払っていた。
「大丈夫?」と言った。「白いよ」
「ジェミン」と手首を掴んだ。「どのくらい通ってるの?」
「え?」
「三時四十分に。どのくらい?」
彼は止まった。
「三年」と言った。「三年と二ヶ月」
「どうして?」
「それは……」と掴まれた手首を見た。「最初は何か買いたかっただけ。それからここで買いたくなった。それから君から買いたくなった」
「どうして言わなかったの?」
「君が見なかったから」と疲れて笑った。「俺は待てる。それだけはうまいんだ」
目が溢れた。手首を離した。
「三年」と言った。「三年と二ヶ月」
「うん」
「私も」
そして彼は私を見つめ、体のことを分かっているから、四百年言わなかったことを今言ったと理解した。
怖いこと
死すべきことは褒美じゃない。
それは次の数週間で学んだ。尾が糸一本になり、皮膚がおかしなことをし始めた。九尾の狐は体温の設定がおかしい。人間はもっと悪い。寒くなった。本当の寒さ、毛布と靴下の寒さ、三時四十分にカウンターの裏で足が冷える寒さ、ソヨンは倉庫から毛布を持ってきて、老いた猫みたいと言った。
吹き出物が出た。四百十二歳で吹き出物。缶の縁で切って、傷が閉じるのに二分でなく二日かかった。牙は鈍り、切れずに邪魔になった。ある夜、浴室の鏡で皺を見た。額に。小さく。皺。
「皺がある」と電話でジェミンに言った。
「おめでとう」
「笑いごとじゃない」と額を押さえた。「死ぬのよ」
「俺もだ」と背景でオフィシオが鳴いた。「ユリ、俺が一日中何してるか分かる? 死んだ動物を開いてる。分かってる。これほど普通のことはない」
「でも私は四百年死ななかったの」
「俺は三十三年だ。一つだけ君より先だ。怖いって何かもう知ってる」と一瞬黙った。「行こうか?」
「うん」
来た。朝八時二十分に、オフィシオを運搬ケージに入れて。ひとりで置けなかったから。リビングの床に猫を膝に座らせ、ジェミンに言った。
「尾がなくなったら死ぬ。でも明日じゃない。五十年かもしれない。五年かもしれない。人間になった最後の九尾の狐はばかげたことで死んだ。一人は風邪。一人は階段から落ちた」
「それが怖いの? 階段から落ちること?」
「忘れるのが怖い」と見た。「四百年の記憶、ジェミン。人間になったら、何? 頭が君みたいに三十三年になる? 李朝を忘れる? 母を? あなたに出会う前に八度愛したことを?」
床に座り、向かいに、背をソファに。
「分からない」と言った。「でも俺も忘れる。鍵も誕生日も忘れる。それで死なない」と見た。「ユリ。残りたい?」
「あなたと残りたい」
「そう訊いてない」
黙った。オフィシオが脚を踏んだ。
「分からない」と言った。「うんだけど、うんと言うのが怖い」
「ならまだ言わなくていい」
それはいちばん優しい言葉だった。恐怖をまるごと残してくれたから。
尾:九本のうち一本。
でも尾はもうあまり動かなかった。ベッドで、床で、テーブルの縁からぶら下がって静かだった。もう絡まない。ときどき眠ると、ジェミンが手で探し、緩んだ尾を見つけ、子どものように腿に乗せた。
最後
最後の夜は普通の夜だった。それが大事だ。普通だった。
二時から八時のシフト。ソヨンは四時十分に来て、切手で払おうとした客のことを話した。デホは五時に来てコーラを積み、恋愛は評判のいい習慣だと言った。ジェミンは三時四十分にいつものように白衣で、寝不足の髪で来て、ツナのおにぎり二つと水を買った。
見つめた。パーカーの下の尾はぶら下がり、舌で動かす歯のように感じた。
「ユリ?」
「バックルームに来て」
「今?」
「今」
ソヨンをレジに残した。彼女は眉を天井まで上げて何も言わず、それはソヨンにとって英雄的行為だ。
バックルームで、電球が明滅する中、パーカーをたくし上げた。尾はぶら下がり、白く、黒い先はほとんど床に。
「落ちる」と言った。「今日」
ジェミンは尾を見た。それから私を見た。
「落ちたらどうなる?」
「一本もなくなる。人間になる」と声が割れた。「死ぬの、ジェミン。遅かれ早かれ。遅いがどれくらいか分からない」
近づいた。腰に手を置いて引き寄せ、額にキスし、それから口にキスした。ゆっくり、動物を開くあの忍耐で。
「わかった」と言った。「じゃあ死のう」
「そんな簡単じゃない」
「分かってる」と目を見た。「ユリ、聞いて。尾で好きになったんじゃない。おにぎりの補充の仕方で好きになった。三時四十分に来るのをやめろと言うのに待ってくれるところで好きになった。噛み方で好きになった」と尾の付け根に手を置いた。「明日人間になって毎年皺ができても、皺ごと好きでいる。階段から落ちても、床で好きでいる」
涙が落ちた。また。
「くさい」と言った。
「獣医だから」
鼻を詰まらせて笑った。彼はまたキスし、私は白衣を掴んで引き寄せ、尾、最後の尾が残る力で彼の脚に絡んだ。
白衣を外した。ズボンに手を入れた。硬く、彼は長い息を漏らし、額を肩に。
「早く」と言った。「落ちる前に」
「急がなくていい」
「ジェミン」
「わかった。早く」
箱に押しつけて回した。スカートを下ろした。腹に手、うなじに口で入り、私は水の箱にしがみつき、電球が明滅し、彼が突き、突くたびに尾が少し動き、尾は脚でよじれ、伸びる、伸びると感じた。
「もっと」と言った。
もっとくれた。強く、片手を腰に、もう片方を髪に、私は長くみっともない呻きで達し、頂点で、縁で、最後の引き、本当の、引き剥がすものを感じた。
尾が脚からほどけた。
濡れた雑巾のような柔らかい音でバックルームの床に落ちた。
ジェミンは中で止まり、うなじで息をしていた。私は床の尾を見ていた。白く、黒い先、小さく、縮れ、輝きのない。
「終わった」と言った。
そして泣き出した。悲しみでなく、寒さで。内側から寒さが入り、感じたことのない、骨の寒さ、心臓が違う、もっと遅く、もっと本当に脈打つのに気づき、手が重く、空気が前より強く匂い、すべてが強く、段ボール、床用洗剤、ジェミンの汗、電球が明滅して目が痛んだ。
ジェミンが後ろから抱きしめた。白衣で覆った。
「息して」と言った。「一緒に息して」
息をした。一秒。二秒。
「寒い」と言った。
「分かってる」
「本当に寒いの、ジェミン。人間の」
「分かってる」と強く抱いた。「家に毛布がある」
涙まみれの顔で笑った。振り向いて抱きつき、胸に顔を埋め、彼は手で頭を支え、しばらくそうしていた。尾を床に置いて。ソヨンがバックルームのドアを叩いて言うまで。
「ユリ、大丈夫? レジに尾があるんだけど」
尾:九本のうち零本。
その後
尾を拾った。透明なビニール袋に入れて家に持ち帰った。ジェミンは捨てたがったが、いやと言い、今は冷蔵庫の上のガラス瓶の中に、黒い先を下に、ドライフラワーのように入っている。
ソヨンは翌日それについて訊いた。
「ユリ、なんで瓶に狐の尾が入ってるの?」
「知り合いの狐の」
「あんた、ほんと変」
デホは棚から言った。
「尾を瓶に取っておく人は長く生きてる。目に出てる」
笑って何も説明しなかった。もう説明する尾がないから。
今は寒い。額に皺が一本、口元に二本、揚げ物を食べると吹き出物が出る。缶で切って傷が化膿し、ジェミンが浴室で消毒して治し、もっと早く言わないと文句を言った。オフィシオはベッドで一緒に寝て腹を踏み、ジェミンは焼き餅を焼いていると言う。
二時から八時のシフトは続けている。ジェミンは三時四十分に来続ける。ツナのおにぎり二つと水を買い、ときどきソヨンが見ていないとカウンター越しにキスする。
死ぬのが怖い。ばかげた風邪、階段、バス、今は私だけのもので擦り減っていく体が怖い。母を、李朝を、彼だと知る前に八度愛したことを忘れるのが怖い。
でも今朝、シフトのあと、夜が明けていて、ジェミンがドアで傘とおにぎり二つを持って待っていて、言った。
「一つは君の。もうこの時間に食べるんだろ」
手を繋いだ。彼の手は熱く、私のは冷たく、傘の下、彼の家へ歩き出した。
四百十二歳。尾は零本。皺が一本。
そして八時十分に待っていてくれる男が一人。